世界システムの変動 1

金曜日のIMFに関する記事に関して多くのコメントをいただいたので、もう少し書いてみたいと思います。

まず木曜日に流れたIMFの1兆ドルのスキームの噂と、ダイヤモンドオンラインにかかれたものが同じものかどうかわかりませんし、この日本の提案の詳細も今のところわかりません。(真偽のほども含めて)

ただ何らかの動きがあるのは確かなようです。

まず事実関係から確認してみたいと思います。

日中韓とアセアンの会合で、アジア諸国の危機時に外貨を融通しあうチェンマイ・イニシアチブの拠出金の引き上げと政策協調を進めることを確認しました。

チェンマイ・イニシアティブというのはアジア通貨危機の再発を防ぐために、アセアンと日中韓で通貨スワップを利用した資金融通の枠組みです。

ある国で資金流出が起こり、通貨安になった場合のドル売り自国通貨買いの介入資金の提供を通貨スワップの仕組みを通じて行います。

またこの通貨スワップの仕組みそのものが、その国一国の外貨準備超えて介入資金を手当てできるという通貨投機に対する押さえにもなる効果があります。

このチャンマイ・イニシアティブ設立の過程には、アジア通貨危機で日本が中心の仕組みが米国の反対で葬られました(米国はアジアのプレゼンスを弱めたくない)

その後IMFがタイ、韓国、インドネシアなどに融資を行いましたが、その方法が緊縮財政で途上国に苦痛を与え、韓国では財閥解体、銀行がほとんど外資の手中に落ち、きわめてIMFの政策は人気がなく、いまでもIMFアレルギーはアジア諸国に強く残っています。

このためチェンマイ・イニシアティブでは中国も賛成に回り、このようなシステムをアジアの中から構築することが可能となりました。

IMFはアイスランドに対する21億ドルの緊急融資は暫定合意したようです。

アジア欧州会議でのIMFの役割強化も確認されました。

またIMFはパキスタン、ベラルーシから融資の要請を受け、ハンガリーへの支援も検討中とのことです。

さてIMFに対するアジア諸国のアレルギーが、日本が役割果たす上でポイントになります。

まずIMF/世界銀行体制は、1944年に取り決められた米国を中心にした欧州との第二次大戦後の世界体制の枠組みです。

やはり西洋中心であり(IMF総裁は欧州から、世銀総裁は米国から総裁を出します)また20世紀のシステムでもあり、アジアを中心に新興国が力をつけてきた21世紀の体制には合わなくなってきています。

1989年にベルリンの壁が崩れ東西冷戦が終了し、米国一極の世界の動きが始まりました。

米国はここでいい気になり1990年代は経済戦争で日本を弱体化させ、政治的にも米国1国で強引に物事を進めた結果、中東で躓き、今回サブプライムでおお転びしてしまいました。

1990年から続いた米国一極構造はこれで一旦終了し、米国の力は相対的に低下することになるでしょう。

少なくとも金融の世界では圧倒的な力を誇ったウォール街投資銀行ビジネスは衰退するでしょう。

それでは米国の極に対抗するユーロを持つ欧州はどうでしょうか。

やはり域内のアイスランド、ハンガリーの救援もままならずユーロ自体がドルに対する第二の基軸通貨という幻想も剥げ落ちてしまいました。

この幻想の剥落が現状の激しいユーロ売りにつながっています。

相対的に傷の浅い日本(株価や円高により傷口が広がる可能性もありますが)、中国、アジア諸国、インド、ブラジル、そして産油国と、とにかくマネーを持っている諸国の力が今後上昇し、米欧に対す第三極の影響力が大きく上昇することは間違いありません。

この10年、金融の力で景気が良かったのは米英豪ニュージーランドのアングロサクソン諸国であり経常赤字の国々です。

高い金利や有利な金融商品、上昇する株価で海外から資金を集め赤字を補いなおかつ好況を謳歌してきました。

そして資金を供給して来たのは、日本、中国などの貿易黒字国、産油国、欧州諸国です。

米国に物を売り貿易黒字を米国の金融商品を通じて米国に還流させてきたシステムは一概に悪いとはいえませんが、度を越した米国人の消費体質と行き過ぎた金融への傾斜が限界点に達し、今回暴落が起こっています。


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